フラワーブルームピンボール

観光列車おろち号 指定券5万円超に ラストランに水差す高値転売

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」=島根県奥出雲町の出雲坂根駅で2022年4月22日午前11時42分、松原隼斗撮影
観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」=島根県奥出雲町の出雲坂根駅で2022年4月22日午前11時42分、松原隼斗撮影

 11月23日に運行を終える観光トロッコ列車の指定席券が、インターネット上で高値で転売されている。島根県と広島県を結ぶJR木次(きすき)線の「奥出雲おろち号」で、高いものでは通常の100倍以上の価格につり上がった。チケットの高値転売を規制する法律もあるが、鉄道切符は規制対象外。人気列車の引退が迫る中、別れを惜しむ地域やファンの思いに水を差すような行為にも打つ手がない。

 オークションサイト「ヤフーオークション」では、おろち号の運行最終日の指定席券が5万6500円で落札されていた。通常の指定席券料金は乗車区間にかかわらず大人一律530円(乗車券は別)で、本来の価格の106倍。最終日以外も窓側席が1万5500円など、1万円を超える価格での落札が相次いでいる。

3段式スイッチバックが見どころ

 おろち号の何が人気なのか。木次駅(島根県雲南市)―備後落合駅(広島県庄原市)間の60・8キロを約2時間半かけて運行する。

JR木次線
JR木次線

 日本神話に登場する「八岐大蛇(やまたのおろち)」伝説で知られる島根県の斐伊(ひい)川の源流に沿う奥出雲の自然を、ガラスのない大窓の客車から楽しめる。

 見どころの一つは全国的にも珍しい「3段式スイッチバック」だ。勾配のある区間に逆Zの形に敷かれた線路を2カ所の折り返し地点で進行方向を切り替えながらジグザグに上っていく。線路が3段になるため、そのように名付けられた。これまでは、冬季を除く週末や日曜・祝日を中心に運行されていたが、11月は最終日まで毎日1往復している。1編成は定員64人で全席指定だ。

 1998年に運行を始めたが、車両の老朽化に伴い、JR西日本が運行終了を決めた。列車の指定席空席状況を表示するサイト「JRサイバーステーション」によると、運行最終日まで満席が目立つ。

 ラストランの列車や臨時列車の指定席券が、オークションサイトで高額転売されるケースは各地で相次いでいる。

鉄道切符転売は禁止法の対象外

 チケットの高額転売は違法にはならないのだろうか。2019年施行の入場券不正転売禁止法では、インターネット上の売買も含めて規制されている。主催者の許可なく定価を上回る額で転売することなどを禁止し、違反すれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金などと定めている。

家族連れなどの乗客でにぎわう「奥出雲おろち号」=島根県奥出雲町で2022年4月22日午前11時37分、松原隼斗撮影
家族連れなどの乗客でにぎわう「奥出雲おろち号」=島根県奥出雲町で2022年4月22日午前11時37分、松原隼斗撮影

 ただ、東京五輪・パラリンピック開催などを控えて議員立法で制定された同法は、スポーツやコンサート、舞台などのチケットが対象で、鉄道切符は含まれない。捜査関係者は「法の抜け道になっている」と気をもむ。

 島根県警生活安全企画課によると、県内の駅で転売目的で切符を購入し、インターネット上で転売した場合、入場券や鉄道切符などの不当な売買行為を禁止する県迷惑行為防止条例に抵触する可能性がある。ただ、出品者は、モザイク処理を施すなどして切符に印字された購入駅名を伏せて写真をネット掲載しているケースが多く、購入駅を特定するのは難しいのが実態という。さらに県外で購入された場合は、島根県の条例違反に問うことはできない。

転売なら「特急券無効」も

 独自に対策を行う鉄道会社もある。近畿日本鉄道は22年10月、乗車券の販売などについて定めた旅客営業規則を改定した。所定料金よりも高額で転売された特急券は無効として回収することがある。

 観光列車「しまかぜ」や「ひのとり」の先頭展望車両の最前列席などが特に人気が高く、利用客から転売防止策について問い合わせを受けたためという。

 担当者は「実際に悪質な転売が行われていることを確認した場合は、警察などとも相談の上、無効として回収するか、対応を検討する」としている。

【松原隼斗】

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の筆者
すべて見る

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月

ニュース特集