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車庫を開けた瞬間そこに…クマに襲われた男性、死を覚悟した一部始終

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秋田県鹿角市で撮影されたツキノワグマ。北秋田市で5人を襲ったクマとは別である可能性が高い=2023年9月(県提供)
秋田県鹿角市で撮影されたツキノワグマ。北秋田市で5人を襲ったクマとは別である可能性が高い=2023年9月(県提供)

 自宅の車庫前でうずくまりながら、覚悟した。「もう死ぬんだな」。腕で必死に頭を守っても、鋭い爪と牙が何度となく襲いかかる。一瞬の隙(すき)をついて逃げたが、相手はすぐ後ろまで迫ってきた――。周辺ではこの日、すでに4人がツキノワグマに襲われていた。「現場近くの住民」としてテレビの取材も受けながら、その直後に「5人目」となってしまった男性が、一部始終を語った。

 湊屋啓二さん(66)が街の異変を察知したのは、10月19日の朝だった。北秋田市は人口3万人ほどの市で、湊屋さんが営む秋田名物「バター餅」で有名な菓子店「鷹松堂(たかまつどう)」は、市役所や警察署が集まる街の中心部にある。

 午前7時ごろ。店舗兼自宅の隣にある工場で餅を切っていた湊屋さんは、悲鳴を上げながら走る若い女性を見た。すぐ外に出ると、その女性を通りがかりの車の運転手が介抱していた。「どうしたの」と聞くと、運転手は「クマです」と言う。

 目の前の交差点では高齢の女性がうずくまり、人が集まっていた。駆け付けると、警察官が「もうすぐ救急車が来るから」と励ましている。ツキノワグマの体長は「1メートルを超えると大きい」(秋田県自然保護課)とされるが、走り去るのを見たという男性が「1・5メートルぐらいあったのでは」と話すのを聞いた。

 湊屋さんは後から知ることになるが、この2人が襲われる直前にも、2人の女性が被害に遭っていた。北秋田署によると、場所は約700メートル離れた住宅街。いずれも80代で、散歩中だった。

 湊屋さんが見た女子高校生(16)は3人目。バス停でバスを待っていたところ、左腕をかまれた。交差点でうずくまっていた女性(82)は4人目で、背後から襲われて肩に裂傷を負った。他のクマの目撃情報はなく、全て1匹が襲ったと考えられた。4人とも病院で手当てを受けたが、命に別条はないという。

 十数年前、1キロほど離れた地域で子グマが出た時も騒ぎになったが、今回はさらに市の中心部。怖さよりも「なんでこんなところに」と驚いた。

 工場に戻った後、同居する娘から「自宅の裏庭にクマが見えた」と教えられた。…

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